八木 哲也です。地元の愛知県豊田市・みよし市の地方新聞「矢作新報」(H29.3.10)に掲載された私のエッセイ「時々刻々 No.802」をご紹介します。
【「時々刻々 No.802」 安倍首相今国会所信表明でも『未来』を23回】
自宅近くを流れる加茂川沿いの川津桜が少しばかり花をつけ始めた。この拙文が読者の皆さんに届くころにはもう満開のことと思う。
川津桜が咲くと、一気に春が来た感じがする。この川津桜は川沿いに住むY氏が約30 年前から自分の小遣いから1本1本買い、植えてきたものだ。全部で60 本ほど。そんなY氏の後ろ姿を見て、地域の有志が「加茂川愛護会」を組織し、手入れをしている。
そんな動きに啓発されて、川下の隣町でも「加茂川を美しくする会」ができて活動している。近くの小学校もこの活動に参加するようになり、今では川面に銀鱗が飛び跳ねるのが見えるほど澄んだ川になった。Y氏は昨年84 歳で亡くなられたが、彼の夢は地域に根付き膨らみ続ける。
ちょっとまわりに目をやるとこうした例はたくさんある。平芝の梅林公園、梅坪の枝下用水沿いの雪柳、最近ではみよし・莇生のため池脇での桜の植樹祭等々。政府が進めている「地方創生」の原点になっている。
1月20 日から第193国会が開催された。安倍晋三首相の所信演説で目立ったのは「未来」という言葉だ。昨年の演説でも18 回も使ったが、今回はなんと23 回。よほどこの言葉が好きなようだ。首相の唱える「未来」は「次なる70 年に向かって」と時間軸を示している。つまり、この「未来」は単なる夢物語でなく、しっかり現在とつながり、いまの延長としての「未来」だ。安倍政権の4年間で積み上げた実績があるからこそ言える言葉だと思う。
「五百回以上の首脳会談の積み重ねの上に、地球儀を俯瞰しながら、ダイナミックな平和外交、経済外交を展開」とも語った。ロシアのプーチン大統領やトランプ米大統領との会談で、両国との関係が大きく前進したことは評価すべきだ。
アベノミクスは道半ばとはいえ、明らかに様々な国内指標が好転している。とはいえ経済は国内で完結しない。世界経済と緊密な連携が必要なことを考え、首相は「自由貿易の旗手として、公正なルールに基づいた、21 世紀型の経済対策を構築する」ともしっかり強調した。
「我が国の未来。それは子供たち」「学問は身を立るの財本ともいうべきもの」と、教育再生に向けて環境整備や制度変更などを力強く推し進める考えも示した。締めの言葉はやはりこんなフレーズだった。「日本の未来をともにここから切り開いていこう」。
さて2月9日に豊田市議の加茂三樹雄さんが63 歳で逝去された。加茂さんは一期先輩。同じ議場で議論し合った仲間として本当に残念だ。地区の方の話を聞くと、次の選挙も視野に入れていたとのこと。政治家として志半ば、断腸の思いであったであろう。生前、加茂さんは「娘婿が加茂の名字を継いでくれたことを感謝している」「待望の男児が産まれた」と嬉しそうに話してくれたことがあった。政治の世界ではまだまだやりたいことがあったと思うが、加茂さんの未来への思いは、お孫さんにつながっていると思えてならない。
加茂の梅 散りしも野辺に 香り満つ 合掌。
生年月日:昭和22年8月10日
当選回数:2回
学歴:1972年3月 中央大学理工学部管理工学科卒業
得意な政策分野:経済産業 科学技術・イノベーション 文部科学 地方創生
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