八木哲也八木 哲也です。地元の愛知県豊田市・みよし市の地方新聞「矢作新報」(H29.9.8)に掲載された私のエッセイ「時々刻々 No.827」をご紹介します。

【「時々刻々 No.827」 数を頼みの政治になっていないか】

今年の夏は例年になく猛暑日が続いた。百日紅を見上げると、酷暑の中でも、細く筋肉質な枝に花をたわわに咲き傾かせている。こんなに暑いにもかかわらず、名前のように百日も咲き続けている我慢強さ。あやかりたいものだ。

各地域の盆踊り・夏祭りに参加した。今年ほど自民党への御叱正をいただいたことはなかった。寄せられた声、声…。政策ではない。ほとんどが政治姿勢についてだった。森友学園、加計学園、テロ等準備罪などの国会審議のあり方。挙句の果ては「このハゲー」発言。共通しているのは今の自民党体質が傲慢で、高圧的で、上から目線で、説明不足、ということだ。「何事も、実るほど頭を垂れる稲穂かな」と古老は言う。大変申し訳ない。何の反論もありません。

4年8か月前、国民の皆さんから「安定した政治、決めることができる政治が必要だ」との切なる声を受け、自公連立政権を選んでいただいた。

先の通常国会では法案成立率は95・5%。確かに「決める政治」になってきたことは紛れもない事実だ。

だが「決める」ことには裏付けが不可欠だ。それは何か。お互いが議論しあい、国民の皆さんが理解し、納得することが欠かせない。日本は民主主義の国だからだ。月日を経る中で、数の力を頼みに「決める」政治になっていないか。反省すべき点だ。

内閣支持率は世相を反映し、1度は30%台という危険水域に入った。安倍晋三首相はこうした世論を真摯に受け止めたのだろう。8月3日、新たに内閣を組閣し「仕事人内閣」を標榜した。9月25日から臨時国会が始まる。新内閣と自民党が今までの反省を踏まえ、どのうような国会運営をするか。国民は注視している。まさに正念場だ。

地元では9月に入ると各地域で敬老会が企画されている。元気な高齢者に会うと、私も元気がもらえ、本当に嬉しい。昨年、100歳以上の高齢者は6万人を超え、文字通り「人生100 年時代」といわれるようになってきた。ただ、平均寿命と健康寿命の差は男女とも約10歳の差がある。この差を少なくすることが重要だ。

過日、ある町の区民会館を訪れた。定例的に高齢者がサークル活動をしている。御年98歳の古老がかくしゃくとして麻雀卓を囲んでいた。その活力にあやかりたいと参加した。帰りしな「9月10日で99歳になる。また来いよ」と言われた。勝負に負けたがエネルギーをもらった。元気で長生きは大きな財産だ。

少子化の課題もある。稲武中学校の3年生12名が修学旅行で国会見学に来てくれた。今年の小学校入学者が8人。昨年出生者が6人。稲武地区は明らかに少子化傾向だ。同地区は合併後12年間で24%人口が減った。少子化、高齢化、人口減。一地区だけでなく、日本全体の重要な課題でもある。ほかにも課題はたくさんあるが、一つずつ、丁寧に、国民の声を受け止め、結果を出す。私も「仕事人内閣」もそのつもりだ。

家の近くの百日紅はまだ咲いている。

政策コラム執筆者プロフィール
八木哲也八木 哲也 愛知11区【衆議院議員】
生年月日:昭和22年8月10日
当選回数:2回
学歴:1972年3月 中央大学理工学部管理工学科卒業
得意な政策分野:経済産業 科学技術・イノベーション 文部科学 地方創生