石破茂会長石破 茂 です。

沖縄における米軍輸送機オスプレイの事故については、対応を誤ると極めて困難な状況になることが懸念されます。

「不時着」なのか「墜落」なのかについては、明確な定義があるわけではないのですが、空中給油中に回転翼が給油ホースと接触して損傷し、飛行が不安定になる中で、人家への影響を避けるために普天間基地への帰投を断念して、海岸に意図的にコントロールして降ろした(落とした)とするならば、損傷の状況如何を問わず「不時着」と評価するべきなのでしょう。

それはともかく、情報不足のせいなのか、日米地位協定の下に設置されている日米合同委員会の中にある事故分科委員会が今後どのように機能するのかについて言及がないように思われます。オスプレイは従来機とは異なり、回転翼(固定翼モードのときはプロペラ)が大きいため、この種の事故発生の確率は高いと思われ、それをいかに回避するかが今後の焦点となるはずです。

在沖米軍のトップであるニコルソン米軍四軍調整官は沖縄県副知事に対し、人家への墜落を避けて海岸に不時着した兵士を称えたうえで「県民は感謝すべきだ」と述べたと伝えられます。直接聞いたわけでもありませんし前後の脈絡もわかりませんが、この部分だけを聞けば米国と日本、就中沖縄との意識の差は極めて大きいと言わざるを得ません。自衛隊機も過去、人家への影響を避けて不時着し、隊員に死傷者が出た例がいくつかありましたが、隊員の己の生命に代えても国民の命を守るという行為を組織内で称えることは当然あっても、住民に感謝せよなどとは言うべきことではありません。米国との間にある断層のようなものを垣間見たように思いました。

いずれにせよ、地位協定についての検証は必要です。地位協定が日米安保条約と一体のものである以上、論理的には日米安保体制の非対称性が見直されるべきですし、「対等性」とは本来は在日米軍と「在米日本国自衛隊(今は存在しませんが)」の間において論ぜられるべきものですが、同時に運用の改善で対処することの限界性も感じており、自分として試案を示すべく、さらに努力して参ります。

今週は年末で日程が分刻みとなってしまい、日露首脳会談については来週に論ずることをご容赦ください。ソ連、現ロシアが北方四島を不法占拠しているという事実から目を背けるようなことがあっては決してならない、というのが私の基本的な立場であることを事前に申し上げておきます。

週末はいくつかの取材や地元テレビ出演の他は、久々に日程を空けることが出来ました。資料整理や文献に目を通すことで終わりそうですが…。

12月25日18時57分から、先週ご紹介したビートたけしのTVタックル年末スペシャル放映予定(テレビ朝日系列)です。

皆様、お元気でお過ごしくださいませ。

政策コラム執筆者プロフィール
石破茂会長石破 茂 鳥取1区【衆議院議員】
生年月日:昭和32年2月4日
当選回数:10回
学歴:1984年3月 慶應義塾大学法学部卒業
得意な政策分野:安全保障・農林水産・地方創生