石破 茂 です。
天皇陛下ならびに皇族の方々は、我々一般国民が享受する基本的人権が大きく制約されています。表現の自由も、思想信条の自由も、結婚すら思い通りにはできませんし、もちろん選挙権も被選挙権もお持ちになりません。これは一体何によって正当化されるのか。学説は主に3つに分かれます。即ち、
A説:明治憲法下のような「皇族と臣民」との区別は存在せず、天皇・皇族も「国民」であるが、天皇の職務・行為の世襲制からくる最小限の特別扱いであるとする。
B説:天皇はあらゆる政治的対立を超越した存在であるから、享有主体(人権を持てる対象)である「国民」には含まれない、皇族は国民に含まれるが、天皇との距離に応じた特別扱いが認められるとする。
C説:皇位の世襲制を重くみて、天皇および皇族ともに「門地」によって国民から区別された特別の存在であり基本的人権の享有主体ではないとする。
この中ではC説が有力説と言われており、「世襲制なのだから、人間ではあるが基本的人権は持たない」「日本人ではあるが『国民』ではない」ということになるようです。当ブログにお寄せいただいたご意見のように、このような議論自体ナンセンスなのですが、これは物凄く残酷なことといわねばなりません。ましてや「戦争や大災害などいかなる事態になっても最優先に保護される特権を有するのだから、このような制限は当然あるべきだ」などという意見に私は全く与しません。
しかし、有り難く、畏れ多いことに天皇陛下は8月のおことばの中で「国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛を持ってなし得たことは、幸せなことでした」と仰せになっておられます。この大御心に私は少しでもお応えしたいと思っています。
自民党として、この議論は役員会メンバーに最長議歴をお持ちの野田毅衆院議員を加えたメンバーで行い、その他の議員で意見のある者は書面をもって1月末までに提出せよ、という方針で臨むことが決まりました。
「静かな議論」とは「閉ざされた場で少数の限定メンバーで行う」ことのみを意味するとは思いませんし、多くの議員には、多忙な1月末の僅か数日で書面に自分の考えを纏める時間的余裕も無いように思いますが、決まったことには従うのが党所属国会議員というものでしょう。
この議論が国民の間であまり行われないのは、畏れ多いという気持ちもさることながら、天皇陛下や皇室の方々の、我々の想像をはるかに超えたご活動をいつのまにか当たり前のように思ってきた、一種の甘えがあるのではないだろうかと危惧します。平和や安全もそうであるように、大切なものはその価値を認識し、常に努力しなければ維持できませんし、失ってから気付いてももう遅いのです。
仮に国民がそうであるならば、「全国民の代表者」として議席をお預かりしている国会議員がそれぞれの地域で語らなくてはなりません。
私の力が足りないせいか、不徳の致すところか、恐らくその両方なのでしょうが、このような議論は党内で広い支持を得ているわけではありません。しかし少なくとも私は、自らの考えを訴えて参る決意です。
本日夕刻の衆議院本会議において、平成28年度補正予算が可決し、参議院に送付されました。
昨日、今日と予算委員会での質疑を一委員として聴いていたのですが、野党の質問の水準は以前と比べてかなり上がりつつあるように思えました(勿論すべてがそうではありませんが)。
与党が絶対多数であり、衆参の「捻じれ」もないため、紛糾したり、審議が中断したりする場面はありませんでしたが、これで彼らのディベートの技術が上がってくると相当に手ごわくなるような気がしたのは事実です。政府・与党として緩みや驕りの無いよう、本予算審議も心して臨まねばなりません。
今週読んだ本の中では、三浦瑠麗氏の「トランプ時代の新世界秩序」(潮出版社刊)から多くの示唆を受けました。三浦女史の所論は、保守の立場にありながらも現場をよく把握した上での、斬新で洞察力に富んだもので、いつも大いに啓発されます。「トランプ大統領はニクソンにも似たゲームチェンジャーであると思う」との指摘はその通りなのかも知れません。1971(昭和46)年の米中国交回復、変動相場制への移行といった「ニクソン・ショック」の際の驚きを改めて思い出しました。御一読をお勧めいたします。
週末は、28日土曜日が「石破代議士と語る会」(午後4時半・倉吉市内)、中部大志会新年総会(午後6時・三朝町内)。
29日日曜日が「ビートたけしのTVタックル」出演(午前11時55分・テレビ朝日系列・収録)、中私都親交会での講演・懇親会(午前10時・八頭町内)、という日程です。
TVタックルのたけしさんの発言には、いつも諧謔を装った中にさりげなく真理が含まれており、やはりこの人は天才だなとつくづく思わされます。
今週の鳥取は久しぶりの大雪でした。私が子供の頃は7~80センチの積雪は当たり前だったように思うのですが、最近では珍しくなりました。大雪で小学校が休校になり、バスが学校に来て、鳥取砂丘へのスキー遠足に切り替わったこともありました。
しかし、今般の大雪はとてもそんなのんびりとしたものではなく、地震の後遺症とも併せていろいろな被害が各地に出てしまいました。地元選出の国会議員として、一日も早く正常な生活を送れるよう、できる限りのことをしていきたいと思っております。
皆様、お元気でお過ごしくださいませ。
生年月日:昭和32年2月4日
当選回数:10回
学歴:1984年3月 慶應義塾大学法学部卒業
得意な政策分野:安全保障・農林水産・地方創生