田所 嘉德です。

不祥事の連鎖により国税庁長官や事務次官が辞職するという事態にまで発展して国会審議も滞っており、一日も早く正常化を図り内外の難問に対処しなければならないという、焦燥感を抱きながら国会に臨んでいます。

森友学園問題では財務省の決裁文書改ざんにとどまらず、ゴミ処理の口裏合わせを行っていたことまで判明しました。また、防衛省では無かったはずの日報が次々に出てきて隠蔽が疑われ、シビリアンコントロールが効いていないのではないかとの致命的な批判までされています。

前身の社会保険庁時代に「消えた年金問題」を引き起こして、新しい組織として発足した日本年金機構は信頼回復の担い手として期待されたのに、また大量のデータ入力ミスを犯していました。結果的に約15万人もの年金支給額の誤りを生じさせ、本来よりも総額で約20億円も少なく給付して、受給者に多大な迷惑をかけていました。

更に、今国会を「働き方改革国会」と称して、生産性向上のための法案成立を目指していますが、背景となる厚生労働省の調査データに異常値が見つかるなどして、法案の信頼が揺らいでいます。

委員会での、先ほどの森友学園のゴミ廃棄に関し「口裏合わせ」を持ちかけたのかとの問いに対し、これを認めた太田理財局長に、自民党の西田昌司議員が「ばかか、本当に!」と言い放ったが、まさに救いようのないようなことが実際に行われていました。

前述のような不祥事や職務懈怠による問題が発生すると大臣(副大臣及び政務官を含む。以下同じ。)の責任が問われ厳しく非難されます。大臣は行政各部を統制する立場にあるので、その責めを甘受しなければならないのは当然です。

しかし、いくら大臣だけを責め立てても本質的な問題は解決しません。頻繁に変わる大臣が、省庁の内部に精通した強固な官僚組織を細部までコントロールすることは現実的には難しく、むしろ当該組織の意思決定活動の上に乗っているということが少なくないからです。

それでも大臣は責任を免れることはできないのであるから、行政各部の職務に携わる一人ひとりが責任を持って、自律的に適正な業務を遂行するような仕組みを構築することこそが、統制する者としての最も重要な責務と考えるべきです。

この点、国家公務員制度改革基本法において、職員の倫理の確立及び信賞必罰の徹底、人事評価の基準の明確化、職務上の義務に違反、職務を怠った場合の懲戒処分の適正・厳格な実施の徹底等の措置を講ずべきとしています。いまこそ、それらの確立などによりガバナンスの強化を図らなければなりません。

決して政治の責任を否定するものではありませんが、官僚が現場で不適切な仕事をしながら、官僚自身が情報源秘匿に守られてその問題をリークし、政治部門が大きなダメージを負うという図式になったのではたまりません。

政策コラム執筆者プロフィール
山下貴司田所 嘉德 茨城1区【衆議院議員】
生年月日:昭和29年1月19日
当選回数:3回
学歴:2014年3月 白鴎大学法科大学院卒業
得意な政策分野:法務、建築工学