八木 哲也です。地元の愛知県豊田市・みよし市の地方新聞「矢作新報」(H30.6.22)に掲載された私のエッセイ「時々刻々 No.864」をご紹介します。
【「時々刻々 No.864」】今こそ日朝首脳会談を実現し拉致問題解決を
故郷の田に風渡る――。早苗は青嵐に従い、美しく風紋を描く。見上げれば青空。そんな田んぼの上空を、燕が縦横無尽に直滑降し飛び交う。田んぼの横からちょっと道を入ればこども園。その軒先に燕の巣がある。親がえさを運ぶたびに、いっせいに精一杯の口をあけ、わめき鳴く雛鳥たち。初夏の香りとともに力強いいのちの息吹を感じる。
爽やかかどうかは別として、政治にも風が吹いた。6月10日に投開票した新潟県知事選だ。自民・公明が支援した花角候補が苦戦しながらも最後で逆転し、僅差で当選した。これで政局の風も少し変わるかもしれない。12日には、史上初の米朝首脳会談が開かれた。朝鮮半島の非核化に向け、世界の耳目が集まった。日本もこの機に日朝首脳会談を実現し、拉致問題を解決したい。国民の皆さんの多くがそう願っている。
私は11日に横田早紀江さんにお会いした。内閣府・文部科学省が北朝鮮による拉致問題を考える資料、アニメ「めぐみ」を制作した。先日、このアニメを題材に、豊田市青少年センターで高校生60人によるグループディスカッションが開かれた。早紀江さんにはその時に寄せられた感想文をお渡しした。「若い人が支えてくれてうれしい」。気丈な言葉だった。日朝会談で拉致問題が解決に向けて進展すれば、初めて爽やかな風が吹く。
国会の会期末は6月20日だ。だがまだ重要法案が衆院段階でも2本、残っている。特定複合観光施設区域整備法案(通称カジノ法案)と健康増進法改正(通称受動喫煙防止法案)だ。参院にも3法案が残る。延長してでも成立しなければならない。こちらは風が吹こうにも窮屈な日程で身動きができない。
それでも粛々と進めなければならないことがある。来年度の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)だ。自民党内では年初から、各部会・委員会などで議論を闘わせてきた。私は高等専門学校小委員会の事務局長として「高等専門学校の在り方に関する提言」をまとめ、林文科相に提出した。こうした提言をもとに骨太方針ができ、年末に向けて来年度予算案が組まれる。だから各議員は一字一句にこだわり、骨太方針への明記に血眼になる。今回は来年10月の消費税率10%への引き上げを前提に、景気変動の安定化に万全を期すこと、財政健全化目標、人口減少・少子高齢化の中での人材投資などを明記した。
骨太方針をベースに8月には概算要求の議論、秋には税制改正、年末には予算案とバトルが続く。こうした議論の渦中にいると、国の形がどうできていくものなのか、与党・自民党の責任がいかに重いか、と身に染みてわかる。
森友学園、加計学園の問題や、自衛隊の日報問題、官僚のセクハラ問題など逆風が続いた。予算案や法案、諸々の基本計画などの審議は風と関係なく、しっかり十分にやっていきたい。
6月14日、サッカーワールドカップが始まった。日本「旋風」を期待している。
生年月日:昭和22年8月10日
当選回数:3回
学歴:1972年3月 中央大学理工学部管理工学科卒業
得意な政策分野:経済産業 科学技術・イノベーション 文部科学 地方創生