八木 哲也です。地元の愛知県豊田市・みよし市の地方新聞「矢作新報」(H30.9.21)に掲載された私のエッセイ「時々刻々 No.876」をご紹介します。
【「時々刻々 No.876」】選管委員として自民党総裁選挙をどう見るか
9月に入り朝夕は秋を感じる時が増えた。そう思った矢先の4日に台風21号、6日には北海道地震。相次ぎ甚大な被害が出た。犠牲になられた方々に哀悼の意を表し、被災された皆さまの平安をお祈りします。政府・自民党として1日も早い復旧に尽力するとお約束します。
自民党総裁選挙が9月7日に告示された。私は派閥を代表して選挙管理委員会委員に選ばれた。初回の会議で選管委員として幾つか確認した。委員は次の3つを自粛する。①総裁選の候補者になる②候補者の推薦人になる③選挙運動を行う、の3つだ。
私は演説小委員会に所属することになった。委員は中立公正であらねばならない。以下の拙文は、自民党の選管委員として総裁選をどうみるか、を記す。
8月22日に開いた第1回目の演説小委員会で、選挙の全体日程が示された。7日から19日までのうち10日から14日までの5日間、安倍晋三首相がロシアで開かれる東方経済フォーラムに出席するため、空欄だ。19日は党員・党友による投票の締め切り日。その前に投函するなら17日頃になるため、選管としての選挙活動は16日で終わりだ。計算すると、選管としての日程を組むのは実質5日間だけ。愕然とした。私は次のように発言した。「今回の総裁選は6年ぶりの選挙だ。党員はもとより国民も注目する選挙にすべきだ。党首を選ぶ選挙だが、日本の総理大臣を決める選挙でもある。候補者がどういう国を目指すのか、どのような政策を訴えるのか、街頭演説会や公開討論会を充実するべきだ。総理が帰国した15日から選挙でもよいのではないか」。結局、その日はまとまらず、流会になった。
翌23日、再び会議を開くと事務局が2つの代替案を出してきた。前日の案より日程は1日延び11日間。だが間に挟む首相の外遊日程は変わらない。改めて発言した。「首相は昨年、一昨年も東方経済フォーラムに出席したが2回とも日数は2日間だけだ。なぜ今回は5日間もとるのか」。
A案は公開討論会1回、街頭演説8カ所。B案は公開討論会1回、街頭演説6カ所だ。「街頭演説は候補者1人15分しかなく政策を十分聞けない。もっと公開討論を増やしてじっくり政策を聴く場を作るべきだ」と指摘し、C案として「公開討論会4回、街頭演説6カ所」を提案した。再び流会になり委員長裁定になった。委員会の最終案は、事務局のB案をベースに公開討論会1回、街頭演説5カ所、10日間だった。
北海道地震が発災したのはその後の6日未明。委員会では急遽、改めて日程変更案が示された。日程は変えないが、人命救助を優先し、7日から3日間、選挙活動を自粛する。首相の外遊日程を3日間に縮め、街頭演説を5回から4回にする。選管主催の行事は4日間しかない。「質、量はしっかり確保すべきだ。北海道を含め党員が選挙に参加できるよう延期の英断も必要だ」と述べたがそれで終わり。総裁選では目に見えぬ圧力を感じた。本当に国民目線なのか、自問している。 (9月7日記)
生年月日:昭和22年8月10日
当選回数:3回
学歴:1972年3月 中央大学理工学部管理工学科卒業
得意な政策分野:経済産業 科学技術・イノベーション 文部科学 地方創生