八木哲也八木 哲也です。地元の愛知県豊田市・みよし市の地方新聞「矢作新報」(H31.4.12)に掲載された私のエッセイ「時々刻々 No.903」をご紹介します。

【「時々刻々 No.903」】有権者の一票が新しい「令和」の時代をつくる

「令和」。新元号が今日(4月1日)決まった。
万葉集の序文にある「初春令月、気淑風和」から引用したとのことだ。日本の歴史上で初めて国書を典拠にしたことを嬉しく思う。

「昭和」は戦争という大きな犠牲の上に立っていた。「平成」は淡路・阪神大地震や東日本大地震など、国難ともいうべき大きな自然災害があったが、戦争のない30年間でもあった。次は「令和」。戦争もなく、災害に強い国で、国民があたたかく和む時代になってほしい。

いまは桜が咲き誇る季節だ。入学式や入社式、「新」という字が似合う。一方でいまは選挙の時期でもある。県議会選挙の真っただ中だ。新人もベテランも新しい気持ちで選挙を戦ってほしい(この拙文が読者のもとに届く頃には選挙結果が出ていると思うが)。次の市議会議員選挙も然りだ。

有権者の皆さん、自分たちの一票が、新しい「令和」の時代をつくります。ぜひ投票所に行ってください。 地域の抱える問題、市や県、国の問題も、みな一連の流れの中で起きている。例えば人口減少は国の抱える最大の課題だ。しかしそれは地域の課題でもある。豊田市は合併して14年たった。14年間で28%も人口が減った地域もある。

安倍政権になって地方創生担当大臣を新設した。過疎対策に悩む自治体にとっては期待の政策であったはずだ。歴代の担当大臣のリーダーシップにより、成功した事例もあるが現実は厳しい。「地域の声がしっかり届いているのだろうか」と考えてしまう。

片山地方創生担当大臣のもとで「スーパーシティ構想」が俎上に上っている。人工知能(AI)やビッグデータを活用して、車の自動走行や小型無人機「ドローン」による配送、キャッシュレスの支払い、AI病院などを導入するという。最先端技術を導入して2030年ごろの未来を先取りしたような未来都市を目指すというものだ。将来そのような社会になっていくのは確かだろう。だが、それが果たして過疎の地域にどれほどの希望を与えられるのだろうかと自問している。

選挙において民主主義は人口を基準に論じられている。参議院選挙では一票の格差解消ということで、2県合区という案がある。これで地域の声が政治に反映できるかのか。疑問だ。

今回の豊田市議会選挙でも、同じように忸怩たる思いをしている。

人口減少の問題は少子化の問題でもある。子供を産み育てやすい環境、経済的環境、教育的環境、社会的環境……などなど。多角的、重層的に政策を打ち出していかなければならない。今国会で審議している教育の無償化もその一つだ。

万葉集に山上憶良が「銀も金も玉も何せむに勝れる宝子にしかめやも」と詠んでいる。いつの時代も子供は家族の宝だ。同時に地域の宝、国の宝でもある。

今回の選挙で新しい「令和」の時代に向けて、持続可能な社会(SDGs)をどのように構築していくのかが問われているような気がする。

政策コラム執筆者プロフィール
八木哲也八木 哲也 愛知11区【衆議院議員】
生年月日:昭和22年8月10日
当選回数:3回
学歴:1972年3月 中央大学理工学部管理工学科卒業
得意な政策分野:経済産業 科学技術・イノベーション 文部科学 地方創生