八木哲也八木 哲也です。地元の愛知県豊田市・みよし市の地方新聞「矢作新報」(R2.3.6)に掲載された私のエッセイ「時々刻々 No.947」をご紹介します。

【「時々刻々 No.947」】コロナ終息へ世界がワンチームで

「議事堂に 和服花添う 初登院」 1月20日、通常国会の開会式があった。和装振興議員連盟の議員約90名が和装で参加し、本会議場は静寂の中に心和む花が咲いた。

だが穏やかな空気は1日で消え去った。まず衆院予算委員会だ。野党の政府への追及は厳しく、まさに春の嵐。最終的に2月27 日には棚橋衆院予算委員長の解任決議案、森法務大臣の不信任案が提出された。本会議で否決されたが、国民の皆さんから果たして予算委員会での質疑に納得や理解を得られただろうか。

そう思った日の夜、もっと大きな衝撃が走った。「全国小中高に休校要請」。官邸で開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部で首相が発言した。前代未聞の政治的判断だ。

政府は2月25日に対策基本方針を公表していた。企業などへテレワークや時差出勤の協力を呼び掛ける内容だ。翌26日には大規模イベントなどの中止や延期などを要請。株式市場は敏感に反応し、大幅に下落した。リーマンショック、東日本大震災以来の事態といえる。小中高の休校要請は27日だった。首相は「子どもたちの健康、安全を第一に考えた」と述べている。その判断は当然だが、唐突感は否めない。事前に閣僚や与党にも十分伝わっていなかった。国民の皆さんの間には緊張と不安が広がったと思う。皆さんが納得する対応策に全力を挙げなければならない。「緊張と不安」は科学的、医学的知見の情報不足と生活への影響の大きさによるところが大きい。
 
2月29日夕刻に安倍晋三首相は記者会見に臨んだ。「断腸の思いの決断」で国民に理解を求めた。望むらくは27日の発表の際に同時に記者会見をして国民の皆様に語りかけるべきであったと思う。

3月2、3日の両日に開いた自民党・新型コロナウイルス関連肺炎対策本部の会議では、土、日に地元へ帰った議員から各地で発生した問題が提起され、活発な議論が繰り広げられた。学校休業の話はもちろん農業・酪農、観光業、土木建築、中小企業、治療薬、入国規制等々議論は多岐にわたった。10日に発表される政府の緊急経済対策を待っていては遅い。早急に対処しなければならない問題が山ほどあるという危機感だ。

新型コロナウイルスの封じ込めを優先しなければならないが、今回はそれ以前に未知のウイルスによる風評被害が増幅している。最優先すべきことは、国民の不安を和らげるため説明責任をしっかり果たすことだ。

事務所に出入りする記者達と意見交換をした。首相の発言の裏には「コロナウイルスについて一日も早く終息宣言を出し、東京オリンピック・パラリンピックを是が非でも、開催する意向があるのではないか」と言う。コロナウイルスは3月1日現在、63か国に拡大している。100人以上の発症は7カ国。日本だけが終息宣言しても、その時に世界の情勢がどうなっているかも重要だ。世界がワンチームになって取り組まなければならない問題だ。

4月には桜が咲き、希望に満ちた入学式が開かれてほしいと切に願っている。

政策コラム執筆者プロフィール
八木哲也八木 哲也 愛知11区【衆議院議員】
生年月日:昭和22年8月10日
当選回数:3回
学歴:1972年3月 中央大学理工学部管理工学科卒業
得意な政策分野:経済産業 科学技術・イノベーション 文部科学 地方創生