石破 茂 です。
九州をはじめとする各地の豪雨災害で、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災者にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、現地で対応に当たっておられる自治体関係者、自衛隊、警察、消防をはじめとする方々に敬意と感謝の意を捧げます。防災省創設の必要性を一層痛感させられます。防災省と感染症に対応するCDCの創設は、「遅きに失した」ということがあっては決してなりません。
この7日で在職35年目を迎えました。昭和61年7月6日、中曽根総理の「死んだふり解散」による衆参同日選挙が行われ、翌7日開票となったのですが、29歳であった私は鳥取全県区の定数4名中最下位、56,534票で辛うじて初議席を得ました。あの時の感激を終生忘れることがありませんし、次点に終わるかもしれない、と本当に覚悟した「疑似落選体験」はその後の大きな糧となりました。上位で楽に当選していたら、選挙の恐ろしさを知らないままに、その後もっと苦しい選挙を強いられていたに違いありません。
初の選挙で助けてくださった方々のうち、多くの方が故人となられました。いつの選挙も支援してくださる方は本当に有り難いものですが、あの34年前の選挙での支援者の方々は最も鮮烈に印象に残っており、今もそのお顔と一緒に闘った時々の場面が瞼に浮かびます。
34年間、紆余曲折、多事多難、有為転変、毀誉褒貶等々の言葉が当てはまる、順風満帆とは真逆の年月でした。
自民党だけで46人いた同期生も、今なお国会に議席を有しているのは逢沢一郎氏、渡海紀三朗氏、三原朝彦氏、村上誠一郎氏、中山成彬氏(希望の党)そして私の6人だけとなり、既に他界された方も十数名に上ります。
政治改革・選挙制度改革の嵐の中で、同期当選の半数以上が自民党を離党したのですが、その後は落選や政界引退、逝去、自民党復党等々、それぞれが様々な苦難の道を歩むこととなりました。勿論、私よりも遥かに人格・識見豊かで、立派な方の多い同期生の中で、文字通り浅学菲才で離党経験のある私が長く在任し、多くの閣僚や党役員を務めることが出来たのは、本当に出来過ぎの政治家人生であったと思っています。もって瞑すべしということなのかもしれませんが、日本国と次代のため、有権者の信任があれば、今しばらく任にありたいと願っています。
東京都知事選挙、都議会議員補欠選挙は、既にご承知のとおりの結果となりました。水月会メンバーである伊藤達也議員の地元の調布・狛江市、平将明議員の地元の大田区を含む4つの都議補選も、すべて自民党が議席を獲得しましたが、仔細に見ると決して自民党自体が信任されたとは言い難い結果のように思われます。
今年の自民党大会は「諸般の事情により」中止が決定されました。新型コロナウイルスに対応するためなのかもしれませんが、本日(7月10日)以降、集会の制限が5000人以内(屋内で開催の場合には定員の半分以下)と大幅に緩和されることもあり、なにか違うやり方をできないものかと考えてしまいます。
自由、民主を旨とする政党として、昨年は参議院選挙があり、年内総選挙も取り沙汰される中、様々な思いを持つ党員に対して説明する機会は、きちんと設けるべきものでしょう。本来、自民党は国民や党員に正面から向き合う政党であるはずです。工夫の余地がないものか、考えてみたいと思います。
自民党外交調査会・外交部会は、習近平中国国家主席の国賓としての来日について「中止を要請せざるを得ない」との表現で政府に見解を提出したとのことです。たしかに、尖閣海域の日本領海への中国公船の侵入や、香港に対する中国の一連の動き等は、日本国として看過しえないものです。しかし一方、昨年6月に日本国内閣総理大臣が国賓としての来日を要請した事実がある以上、それを翻すことが今後の日中関係にどのような影響を及ぼすのかについて熟慮が必要です。面子を重んじる中国が「日本は前言を翻す非礼な国」として一方的に喧伝することも十分に考えられます。
皇室の政治利用と受け取られるようなことは徹底して避け、対外的報道にも細心の注意を払いながら外交儀礼をきちんと果たした上で、日本国の主張を堂々と述べることこそが国益に適うのではないでしょうか。当面、現段階においては、コロナウイルスの対応で延期、とするのが、国益重視の判断ではないか、と考えております。
今週も講演や取材の多い一週間で、まともに本を読む時間のない日々が続きました。単行本や雑誌のご恵贈もあり、有り難い限りですが、とてもすべては読み切れず、申し訳なく思っております。学生時代などの比較的時間の余裕があるときにもっと勉強しておけばよかった、と後悔しきりの毎日です。今週は「韓国とキリスト教 いかにして国家的宗教となりえたか」(浅見雅一・安廷苑著 中公新書 2012)を興味深く読みました。
梅雨の末期、不安定な天候が続きます。
皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。
生年月日:昭和32年2月4日
当選回数:11回
学歴:1979年3月 慶應義塾大学法学部卒業
得意な政策分野:安全保障・農林水産・地方創生
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